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海と空の狭間で

カモメをこの目で見てみたい。

先日の撮影行からそんな思いがくすぶっていた。青い海と空の狭間を、何にも縛られず自由に飛び上がる彼らを・・・。ロマンティックが止まらない。

何も知らない山の民(nagoya832)、とりあえず冬に見られるらしいというのは分かった。可能ならば有名らしい松島の遊覧船のように目の前で飛翔する様子を捉えたいのだ。でも松島は遠くて・・・静岡・・・浜名湖にも・・・???

200km以内で良かったな。ということで華の二十代ラストアドベンチャー、盆地の中の蛙が海鳥に捕食される様子をどうぞ。


キーカスタム論: トラッキング

その前に敬愛するα9閣下について少し技術的な話を。ナゴヤワークスらしくなってきた。

旅行前夜に思いついたこんな手法を試してみた。嘘です。ソニーのWebサイトを読んで真似してみました。

こんな便利な機能があったなんて知らなかったそんなの・・・ということで少しアレンジを加えて運用してみることにした。

イラスト転載元リンク

『トラッキング:ゾーン』を登録フォーカスエリアに設定し、カスタムボタンに再押し登録フォーカスエリアを割り当てておく(私の場合シャッターボタンのすぐ上・人差し指近くのC1ボタン)。

動きを予測できる動体はいつも通りフレキシブルスポットとかでじっくり狙う。

その間、高速で動きの予測できない被写体(ex.遊覧船の周りを飛び回るカモメ)がフレームに飛び込んできたとき即座に登録フォーカスエリアへ切り替えてトラッキングをセットできるのだ。こういう状況ではフレキシブルスポットLでも小さい。しかしワイドだと逆に広すぎるので個人的にはゾーン(三分割の1区画分)が丁度いい。気がする。

余談: 後継機α9IIIではフレキシブルスポットXLが追加されたらしいです。88万円です。

この思いつきで暴れ馬α9のポテンシャルを従来よりも大幅に引き出すことに成功しました。乱造された1990枚の中から厳選した写真たちをご覧ください。

(筆者推奨BGM。是非流しながらご覧ください)

海と空の狭間 @浜名湖

フロントガラスの霜も凍る朝7時出発、中部横断道と東名を走り抜け10時に到着。ここが浜名湖・内浦であります。水がとても綺麗。広い浜名湖の奥まった場所なので海水濃度は高くないと思われる。味見はしていません。

訪れたのは浜名湖遊覧船(写真は夕方撮影)。カモメが飛来する冬の間、船と並行して飛んだり餌をあげて楽しめる『カモメふれあい体験クルーズ』を開催中。これは乗るしかねえな?って静岡新聞さんが言ってました。仰るとおり。

遊覧船『奥浜名丸』(写真は帰港後に撮影)。出港5分前に乗船。1Fを通って右側のデッキへ出るとそこには・・・

ハァーーーーーー!!!!! 激しいお出迎えだ。強すぎるぜッ。

出発前からテンションMAXで餌をあげるファミリーが。つられて私もカメラ向けちゃったりして。

昨晩の思いつきが功を奏し、α9閣下が「よくぞここへ連れてきた」と言わんばかりに扇情的トラッキングでピントを合わせながら秒間16コマの鬼連写をぶちかます。もはやメカニカルシャッターの出番はない。

浮遊感がバシバシ伝わってくるエモーショナルな写真を次々と量産してくれた。最高かよ。今まで風景ばかりですいませんでした・・・。

あれ、よく見たら嘴と足が赤い。黄色というイメージだったのだけど・・・

サントリー曰くこれはユリカモメとのこと。いわゆるカモメはこんな内陸まで飛んでこないらしいッス。(本稿では便宜上カモメと記載させていただきます)

出港。スクリューのエンジンが唸り、桟橋から離れていく。

ホホーーーーーッ!!!カモメさんたちもついて来る。これはエモい・・・

興奮しすぎて絞りの設定が狂っていることに気がついていない。大失敗だ。でも被写体がエモいのでOKです。

1/160秒でも盛大に動体ブレしている。鳥を撮る難しさと(機材的な意味での)ハードルの高さがよく分かる。なお絞り

ああ、これがガルウィング!カモメ特有のM字に開いた翼のことだ。デロリアンとかエックス男の車もこういう開き方をするヤツ。

別の船からも餌をあげている。カモメがここ一帯の観光資源になっているみたいだ。少し先に行くとカモメに占拠されたような私鉄の駅があるらしい。私は本栖でキャンプする鉄人ではないので今回は見送った。

思いっきり太陽の方に振って、これだけのレンズフレアで済んでいるのはT*コーティングの力なのかなと。ツァイスレンズを愛用するくせにその良さをまるで理解していない愚かなnagoya832君だが、今回の撮影行で少し分かったような気がした。ツァイスエアプ。

2Fデッキでカモメふれあい中の模様。奥に見えるのは浜名湖パルパルという遊園地。風に乗って時々絶叫が聞こえてくる。

しかしため息の出る格好良さです。飛行する鳥が目の前に・・・。奥に見えるワイヤーは舘山寺ロープウェイ。対岸の山まで登っていける。湖の上を浮かんで・・・ロケーション最高過ぎでは?

ここで絞りが狂っていることに気づいたnagoya832君。少しずつ開けていきますよ。

東名高速の下を潜っていく。カモメ達に導かれるように。あながち中二病じゃない巧妙な構図。

ワァ・・・

撮ったときは意識してなかったのですが、背景がぼけて被写体が浮かぶと写真に魂が宿るのが顕著に分かります。Lightroomに取り込んでからも沢山の収穫がある。撮れ高がグラハム数。泣きそうです私。

道路を走るトラックと、空を飛翔する彼ら。重力に縛られて生きる私たちには見えない世界があるのでしょうか。飛んでみたいですねえ・・・。

相談できる窓口があります。『まもろうよこころ』で検索してください。いやそういう意味じゃなく。

この写真は本当に格好良すぎて地元紙の月例会にでも出品しようか悩みましたけど、『私の美意識は誰にも理解されない』ことを思い出してギリギリ諦めがつきました。悲しいけどよ。

写真は副産物。そのくらい肩肘張らずにやれば良いじゃん。このウェブログが向かうべき方向をカモメが教えてくれたような気がします。御意。


カモメとふれあう

エモーショナルな被写体になってくれたカモメさんに感謝を込めて餌を贈与しましょう。

カモメ用の餌として提供されるのは菓子メーカーC社のKぱえびせん。やめられない止まらないのは鳥類も同様か。一袋100円。

コツはKぱえびせんを指先でつかみ、腕を伸ばして船から離すこと。手のひらに置かれたものはカモメさんたちの飛行技術でも躊躇するっぽい。そして船に近すぎるとFOX4の危険があるので近寄らないみたいだ。とても賢い。

以下は贈与のプロセス。ストーキング・スピード番長α9閣下の真髄が詰まった4枚をご堪能ください。

(与えているのは無関係な方です。私はひとりです)

①餌に気がついたカモメさん。

②体勢を整えて・・・

③食べた!!!!!

④丸呑み。。。

①~③はカモメさんをトラッキング対象として、完璧に合焦出来ていることがよく分かる。④で腕に対象が移ってしまった。実に面白い。ちなみにこの追従感度は設定で調整が可能で、私は2(まあまあ粘る)に設定していたらしい。悩みどころですね。

私も餌を贈与しました。これはケチってる場合じゃねえ。

いくつか与えているうちに「コイツは餌をくれる」と察されれば、ホバリング中のカモメさんが私にアイコンタクトを仕掛けてくるのだ。可愛い奴め。ヤッハァーーーー!!!!(写真はありません)

催促されてえびせんを差し出すや、背後から飛び抜ける不届き者に強奪されたり。可愛い奴め(2回目)。ここがワンダーランドですか?

超ハイテンションで戯れていると30分の遊覧もあっという間に感じてしまう訳です。

カモメは渡り鳥で、越冬のため10月~2月の間日本に飛来します。太平洋側にお住まいの皆様、冬は寒いだけのつまんねえ季節だと思ってませんか?冬にしか会えないのはM治の溶けやすいチョコレートだけじゃないんです。楽しみが一つ増えてしまいましたよ。生物の多様性にサンキュー、だ。

(ここでBGMを止める)


イブニングクルーズ

もう既にエモーショナルである。12月の土日限定、日没直前の出航便『イブニングクルーズ』(HPと現場で表記揺れあり)にも乗船しました。いや乗らない理由が見当たらねえな?浜名湖の沖合、海抜0メートルから見る夕日なんてそらもうアレですわ。

しかし雲が出てきてしまっている。日没20分前。夕日は見えるかしら・・・。心配をよそに奥浜名丸は出港します。

やはり健気について来るカモメさん達。逆光が情緒的・・・。この光量になると絞りを開くかISO感度を上げるなりしないと動体は厳しい。

扇情的トラッキングでがむしゃらに連写を誘発するα9閣下と、意志が弱い私。気がつくとブレた写真でストレージを埋めてしまい、思うほどの撮れ高は得られなかった。シューティングは慎重に。

沖合へ出れば・・・見えた。エモすぎます。今日もありがとうございました。

ありがとう浜名湖遊覧船。ありがとうカモメさん達。9閣下を手懐けてまた会いに来ます。待っててくれよなー!!

手持ちの機材が秘めた強大なポテンシャルを垣間見て少し恐ろしくなりました。皆さんも可憐でたくましいカモメ達に囲まれながら、お持ちの機材を暴れさせて恐ろしい思いをしてみましょう。恐ろしい故もっと理解して手懐けてやるために。それこそが我々カメラオタクではありませんか。


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