85mmの視点(2)

動物園の動物さん達に主役になってもらうのも良いのですけど、やはり逆張り人間としては敢えてポートレートレンズをつけたまま景勝地に赴き、一般的には注目されないあれやこれやを主役として引き立たせたいという気持ちがあります。お前が主役になるんだよ・・・そういう強い心意気で臨みたい。前回の続きです。

前回に引き続き妄想BGMを置いておきます。海を渡るのが見えたんです。というか渡ったんです。金ピカの船で・・・。

日本平よりロープウェイで5分ほど。三つ葉葵激推しの久能山へやって来ました。徒歩で登ろうとすると1000段以上の石段が待ち構えてるらしいですよ。

久能山東照宮です。東照大権現の遺言に基づいて1年半くらいで作られたらしい。当時の建築技術の粋を集めた、東照宮建築のリファレンスとなった場所なんですって(ロープウェイのガイド談)。

ギンギラギン。360°どこを見回しても三つ葉葵が視界に入ってくる、圧倒的徳川ワールド。

(屋根の右あたりが何故か合成っぽく見えますけど現地で撮影したものです。安心してや)

暑いのだが。日本平と違って海から吹く風もなくただただ暑い。この酷暑の中、極彩色の装飾に囲まれているとtripしてしまいそうでよろしくない。命を守る暑さ対策を忘れずに。

横一列に並ぶオブジェクトと、手元には中望遠レンズ。であればこの構図が飛び出してくるのは必然でしょう。圧縮効果と前ボケ、ベストマッチなコンビネーションです。

とりあえず権現には5円玉をくれてやって「世界平和、ヨロシク!😁」と祈ってきました。きっと明日あたりから太平の世が訪れるはずです。やったね!


そんな東照宮の紋所のごとく金ピカに輝くのは駿河湾フェリーです。遊覧船ではなくフェリーなのでもっぱら交通機関であって、本来ならお遊びで乗るような物ではないはず。でも周遊コースとかいうチケットが用意されてるんだからしょうがないじゃない。そっちの落ち度だぞ。

ということで、ここは静岡県道223号 清水港土肥線であります。国内でも珍しい『道のない県道』。欠番だった県道223号(ふじさんの語呂合わせ)を当てたとのこと。粋だねえ。ちなみに山梨県道223号線は存在しません。

清水港の出入り口。赤と白の灯台。フェリーを待つ間も大小さまざまな船が行き交っていて、海上交通の要所であることを感じます。ちょっと強めの口径食が出てしまっているようですね。うまく活かせば激エモブーストが出来るかもしれません。

駿河湾のただ中、見渡す限りの海原。つまり・・・

日が傾いてくるとこれほどの幻想的な光景をいとも容易くお出ししてきます。土肥から清水へ帰る人々はエモーションに飢えているらしく、デッキで沖合を眺める乗客が多い気がしました。

おいおい、なんだこの夕日は・・・こんなものが見られるなんて聞いてないぞ!少し霞がかかっているおかげで丸く見える太陽、夕日の映る水面。頼むから激エモフェリーに改名してくれ。

夕日も良いけどこんなのもどうでしょう?日が落ちゆく空と、デッキを柔らかく照らすランプ。黄昏時、主役の入れ替わる時間であります。

清水港まで帰ってきました。赤い灯台と立ち並ぶ恐竜たち。清水港と土肥港を往復して2時間半。長い分それだけの様々な光景を見せてくれました。

ドキュメント72時間の新潟↔︎小樽を結ぶフェリーの回を見て、陸路にはない独特な人間模様に感動してフェリーに乗りたくなったのです。乗客ひとりひとりに話しかけて身の上話を聞き出す度胸はないけれど、それぞれの思いを抱きながら海路を行く現場の空気を感じられたそれでいいのです。旅なんてそんなものでしょう。


ということで85mmのレンズをお供に、今年の夏も海(とその周辺)を巡って参りました。35mmとは全く違う見え方に思わずわくわくしてしまいます。近寄って撮りたいテーブルフォト的なものはスマートフォンとかいう優秀なコンデジに任せてしまって、こういう尖ったレンズをつけっぱなしで持ち歩くのも悪くないですね。85mmの視点で、次はどんなものを見てみましょう?


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